はじめに:TOEICとTOEFLのスコア換算がおかしいと感じるのは自然なこと
TOEICとTOEFL、どちらも有名な英語試験ですが、「スコア換算表がおかしい」「点数の対応が納得いかない」と感じたことはありませんか?
実際、そう思うのは自然なことであなただけではありません。
なぜなら、そもそもこの2つの試験は目的や出題形式、求められるスキルがまったく異なるからです。
この記事では、TOEICとTOEFLの違いや、スコア換算が難しい背景をわかりやすく解説していきます。
1.TOEICとTOEFLのスコア換算がおかしい理由とは?
TOEICとTOEFLのスコア換算がおかしい理由①目的がそもそも違う
TOEICは、ビジネスシーンや日常会話など、実践的な英語力を測るための試験です。
企業の昇進基準や就職活動でのアピール材料としても広く使われています。
一方、TOEFLはアカデミックな場面での英語運用能力を評価する試験です。
大学や大学院で授業を受けるために必要な、リーディング・リスニング・スピーキング・ライティングの総合的な力が求められます。
このように、TOEICは「ビジネス英語」、TOEFLは「学術英語」に特化しているため、試験の性質が大きく異なります。
スコア換算表があったけれど…
かつてはTOEICとTOEFLのスコアを換算する表がETS(試験運営団体)によって提示されていたこともありました。
しかし現在は、そのような公式の換算表は撤回されています。
その理由は明確で、評価基準やスキル構成があまりにも違いすぎるためです。
たとえばTOEICのListening & Readingテストでは、スピーキングやライティングのスキルは評価されません。
一方、TOEFLは4技能すべてがバランスよく問われます。
つまり、同じ英語スコアであっても、「測っている中身」が違うため、点数を単純に比較するのは非常に難しいのです。
それでも参考になる「CEFR」という国際基準
直接の換算は難しいとはいえ、英語力を共通の物差しで評価したいときに使えるのが「CEFR(セファール)」という基準です。
CEFRはヨーロッパ発の言語能力評価指標で、英語力をA1からC2までの6段階で示します。
TOEICやTOEFLのスコアを、このCEFRにあてはめることで、ざっくりとした比較は可能です。
以下はあくまで目安となる対応表です:
CEFRレベル | TOEIC(LR) | TOEFL iBT |
---|---|---|
A2 | 225〜545 | 31〜34 |
B1 | 550〜780 | 42〜71 |
B2 | 785〜940 | 72〜94 |
C1 | 945〜990 | 95〜120 |
この表を見て「TOEIC800点ならTOEFLは○点くらいか」とイメージするのはOKですが、あくまで目安であり、スコアの正確な換算ではないことに注意しましょう。
文部科学省が2018年3月に作成した「各資格・検定試験とCEFRとの対照表」を参考に、TOEIC®︎ L&RとTOEFL®︎ iBTのスコアを比較します。
先ほど軽く触れましたが、CEFRとは、「Common European Framework of Reference for Languages」の略称で、ヨーロッパ言語圏で使われる、語学レベルの指標を示す国際標準規格です。
4.どちらを受けるべき?自分の目的で選ぼう
スコア換算に悩むよりも大事なのは、自分の目標に合った試験を選ぶことです。
たとえば、日本国内での就職活動や転職、昇進を狙うのであれば、TOEICの方が一般的に認知度も高く、評価されやすいです。
一方、海外の大学や大学院への留学を目指す場合、TOEFLスコアの提出が求められるケースがほとんど。
英語での講義理解や論文作成など、アカデミックな力が必要とされる場面ではTOEFLの方が圧倒的に適しています。
まとめ:目的を明確にして正しく試験を選ぼう
TOEICとTOEFLは「英語力を測る試験」という点では共通していますが、実際に評価するスキルや目的は大きく異なります。
かつてのスコア換算表はすでに撤回されており、今は単純に数値で比較することはできません。
CEFRによる比較も参考程度にとどめ、自分のゴールに合った試験を選ぶことが一番大切です。
「なんとなくTOEFLの方がレベルが高そう」と感じて選ぶのではなく、「自分はどんな場面で英語を使いたいのか?」をしっかり見極めて、英語学習の方向性を決めましょう。